初めて聞いた

「親友」という言葉。

今もまだあのネックレスは持ってるよ。

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親友2

 

「あっ、ここ座りな?」

 

相談室でぼーっと立ち尽くしていると

遥がそう言ってくれた。

 

「ありがと・・・」

 

身体が震えて

声が上手く出なかった。

 

「いやいや、いいんだ。

  ってか、二人で相談室って初めてだよね。」

 

「うん」

 

「あんなぁ。ちょっと重い話していぃか?」

 

「うん」

 

「うちなぁ、誰も人すら信じられない奴なんだよ。」

 

「えっ・・・?」

 

「だから、裏切られて人が信じられないんだよ。

  虐められて、また誰かが偽善ぶってきて

  そして裏切られたんだ。

   だから人が怖いんだよ。

   怖くて怖くて仕方ないんだよ。」

 

「そうなんだ・・・」

 

「でも、お前は不思議と怖くないんだよ。」

 

「それは本当・・・なの??」

 

「うん。本当だよ。」

 

「実は・・・うちも遥と同じなんだ。

  だけど・・・うちは信じない。信じられない。」

 

「大丈夫。信じなくてもいい。

  でも、空とうちは「親友」だよ。」

 

「親友」

初めて言われた言葉。

今まで誰にも言われたことが無かった。

だけど

遥の目は澄んでいた。

これは、本当なのか・・・?

 

「親友」

その言葉が頭の中でぐるぐる回っている。

感動して、泣いてしまった。

 

「ありがと。」

 

「大丈夫。『親友』だからね。

  だから、生きて。生きようよ。」

 

「うん・・・。できるだけ生きてみるよ。

  だけど、『生きる』っていう保障はできない。。。」

 

「大丈夫。これ・・・やるよ。」

 

遥はうちの首にネックレスをしてくれた。

銀色に光るネックレス。

遥が、入学したときからつけていたものだった。

 

「ありがと・・・」

 

「これ、うちの宝物さ。

  でも気にするなよ?あげる。ずっと持っててね。」

 

「うん。ありがとう。」

 

二人が親友・・・

いや、遥にとっては

信友

かもしれない。

 

二人が「親友」になった瞬間だった。

 

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